酔いしれる情緒
何かが変わってしまうのは嫌です。
「んっ……」
薄らと目を開けると外はもう明るくて、カーテンの隙間から光が差し込んでいた。
(今、何時……)
目をさすって時計を見る。
6:12
結構早めに目を覚ましてしまったらしい。
身体を起き上がらせると、痛みを感じていた腰は楽になっていた。
(良かった、働ける……)
んー…と伸びをして、ゆっくりとドアを開ける。
シンッと静かな空間。
春は、もういない?
玄関に向かうと春の靴はもうなくて、
(……いつも何時に出てるんだろう)
と、少し気になった。
出勤までまだ2時間くらいある。もう一眠りしようかと思ったが、残念ながら眠気はゼロ。
昨日早めに寝たからか目はスッキリしていた。
ソファーに座ると
目の前のテレビが目に入り
(久々につけてみようかな)
"俺テレビ見るのあんまり好きじゃないんだよね"
春がそう言っていた以来、テレビは一度もつけていない。
リモコンもあの日から位置は変わってなくて、
今は春がいないから、と。
そのリモコンに手をかけた。
ピッとテレビをつければ、大画面に朝の番組が映る。
(チャンネルは…どれでもいっか)
適当に番組を変えてよくある情報番組にした。
途中CMを挟んだそれに
水を飲もうとキッチンへ向かう。