酔いしれる情緒
逃げ場はありません。



春の腕に包まれて眠った夜。


意外にもグッスリ眠れてしまったことに、
朝目を覚ましてから気がついた。




6:23




まだ眠れる時間帯。


だけど、目はスッキリとして冴えてる。





(いつの間に寝たんだろ…)





起きてすぐに瞳いっぱいに広がる光景は、昨日の夜と同じくムカつくほどに整った顔。



正確に言えば、春の顔、だ。




スースーと寝息を立ててまだ眠っている彼。



腕枕をされることも

腰に腕を回されていることも

男の人と同じ布団で寝てしまったことも


私にとっては春が初めてだ。





「………………」





意識した途端、みるみる身体が熱くなる。




春はまだ起きていない。



このままここに居たい気もするけど、心臓が激しく動き始めたから逃げようと思った。



恐る恐る、起こさないように。

ゆっくりと身体を動かす。





二度寝したいけど
この状態じゃ出来そうにない…



自分の部屋に戻ろう。


その気持ち一心で身体を動かす。





と。





「っ!?ちょっ…」





突如腕を引っ張られては、

再び身体は春の元へ。



さっきよりも更に密着度が増したそれ。





「おはよ」

「お、はよ……」





いつの間にか、起きてしまったらしい。




私の頭を優しくふわふわと撫でる春。



不覚にも心地いいと思ってしまった私は
されるがままに撫でられて。





「起きてすぐに凛の顔を見れるなんて、幸せすぎて苦しい。」





まだ眠たそうに

とろんとする目でそう告げられると、

朝から胸がキュンっと高鳴った。




心も身体もむず痒くなって…

なんだか居心地が悪くなる。

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