酔いしれる情緒




「じゃあまた後でね~」っと、やっとうるさいやつは去っていった。





あの一瞬でドッと疲れた…



けど仕事中だから止めていた手を動かす。





(一緒に住むなんて…本当に大丈夫なのだろうか)





なんか怪しい勧誘とか、そんなんじゃなくて?




騙されてない?




…いや、騙されていると思う。



何か裏がある気がする。





だって、そんな上手い話ある?



家賃とか光熱費も要らないってことは、
あいつが全部払うって事だよね?





(……金持ちなの?)





ほんと、よくわからない。





(けど……)





"貯金が出来る"




その言葉にはつられてしまう。






いろんな本を今まで読んできたけど


いつかは海外に行ってみたいと思っていた。





小説に出てくる海外の場所。


そーゆーところを巡ってみたくて。





「あっ、」





モヤモヤとそんなことを考えていれば、手に持っていた本を1冊床へと落としてしまう。




……仕事に集中しろ私。





少しばかり溜め息をついてその本を拾う。



けれどその本の帯に書かれていた言葉が、モヤモヤとしていた私の背中を後押しする内容だった。






『大きな道へと繋がる第一歩。』

『迷わず挑むべし。』

< 14 / 325 >

この作品をシェア

pagetop