酔いしれる情緒
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「あ、おつかれ~」
「……………………」
ヒラヒラと手を振って私を迎えるコイツ。
店を出てすぐそこで待っていた。
「……カフェに居たんじゃないの」
「居たよ。けどもー店閉まる時間だなーって思って待ってた」
「…………………」
「どう?そろそろ返事聞いてもいい?」
私の顔を覗き込むコイツに
私は一回心を落ち着かせて、決心する。
「あなたと一緒に住む。いや……お世話になります。」
「ほんとに!?」
「ただっ!!!……もし、アンタに襲われでもしたら速攻出て行くから…」
「そんな事しないよ~ 大丈夫大丈夫。……たぶんね!」
最後ので一気に不安になるわ…
「あぁでも良かった~!
断られた時の事を考えて車用意してたんだけど、必要なさそうだね!」
「……なんで、車?」
「無理矢理にでも連れて帰ろうと思ってたから」
ヤバい奴だ。
いや、元々ヤバい奴だった。
「やっぱり一緒に住む件は白紙に戻して下さい」
「何言ってんの、行くよ~」
素早く手を捕らえられ
グイグイと引っ張られる。
「いや、ほんと、無しで」
「今更そんな言葉聞かないよ~」
ダメだ…聞く耳を持ってくれない。
私の手を引く力は
やっぱり男の人だけあって強いし
暴れてみればちょっとムッとした表情を見せた。