酔いしれる情緒
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「元気ないっすね」
「……………」
本の補充をする私の隣で
慎二くんも一緒になって補充を始める。
2人がかりでするにしては
少なすぎる量だけど
まあ、いいか。
「別に。普通だけど」
「普通にしてはいつもよりオーラが暗いっす」
「…………」
そんなオーラを出してるつもりは無い。
けど、微かな変化でさえ気づいてしまうのが慎二くんであり、そんな彼がそう言うのだから、
今私が出しているオーラは暗いらしい。
ほんと、慎二くんって
周りをよく見てるなと
今となれば
その長所は少し厄介だ。
「そんなことないよ」
ニコリ。笑顔を浮かべた。
うん、引き攣ってなさそう。
大丈夫、大丈夫。
「そんな嘘くさい顔せずに~
俺、話聞くっすよ?」
ほら、厄介。
私は再びニコリと笑って黙々と補充していく。
仕事しろと言ってやりたい気持ちもあるけど
言ったところできっとしないし、コイツ。
「大丈夫だから」
「そうは見えないっす」
「そんなことよりも手動かして」
「そんなことじゃないっすよ~」
顔を覗き込んできた。
そのため視界が狭まり、
補充する場所を見失う。
そして、遂には。
「こっち見てもらってもいいっすか」
慎二くんの手が私の頬に触れ
どこか強引に顔を合わせる。
いつもより近い距離。
ジッと見つめられても、私の胸は高鳴らない。