酔いしれる情緒
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──今日は特別な日になる、そんな気がする。
朝起きて、いつもより少しだけ時間をかけて仕上げた顔面。
窓から差し込む光が外の暑さを表していて、
今日は髪をまとめて行こうと思っていたのに
(あ……しまった。)
あのヘアゴムが無いことに気づく。
春に貸してたやつ。
また返してもらうの忘れてた。
(あれ以外持ってないんだけど…)
仕事中は仕方がなく髪をおろして作業していたし、まあ室内だから暑いこともなかったし。
今日は外を少し歩くつもりだから髪はまとめた方がいいと思って。
「仕方がないか…」
バンスクリップが視界に入り、とりあえずそれで髪を留める。
これ、首元が丸見えになるから外じゃちょっと恥ずかしいんだよね。仕方がないけど。暑さには勝てない。
鏡の前に立って髪の毛を整えていれば、鏡越しにキラリと光るモノが私の瞳に映る。
それは首につけられたモノ。
「──────…」
シルバーの、ネックレス。
私はそれを外すことなく、
このネックレスのデザイン、小さなお花を正しい位置に移した。
鎖骨と鎖骨の間に花咲くそれ。
私はその姿を鏡でもう一度確認してから
用意したトートバッグを肩にかけ、
「────よし。」
どこか高鳴る気分を胸に秘めた状態で家を後にした。