酔いしれる情緒
家に着くとすぐにロボット掃除機が出迎えてくれた。
ただ、まだこの家の中に踏み入れるのを躊躇ってしまう。
他人の家に入る前のような、
ここに来てまだ2日目なのだからこの空間に慣れていない。
「もうここは凛の家でもあるんだから、
躊躇わずに堂々と入っていいんだよ?」
玄関から動かない私を見かねて
コイツは私に向かって手を伸ばす。
「ほら、おいで」
「………………」
「凛。」
────そうだ。
何を躊躇っているんだろう。
私はここで家政婦をする代わりに住ませてもらっているんだから……コイツの言う通り堂々と入ればいいじゃない。
(コイツに背中を押されるのは気に食わないけど…)
素直にその手に触れてみれば
ソレは優しく包まれて、エスコートするように中へと連れられた。