酔いしれる情緒



「お、起きてたなら言ってよ…」


「………ああ、ごめん。

目の前に凛が居たから、びっくりした」





どうやら目の前に私がいたから


春も驚いたらしく、呆然となっていたらしい。





「今、帰ってきたの?」

「うん…ついさっきね」

「そうなんだ。
こんな時間に珍しいね、昼上がり?」





その言葉にコクリと頷く。




珍しいのは私だけではなくて、


春もだ。




「……春こそ、こんな時間に家にいるの、珍しいね」




そう言えば

なぜか春の目がキラキラと輝いた気がした。




えっ、なに。







「今…!春って言った!?」

「言った…けど、?」





ガバッと身体を起き上がらせた春に驚きつつも、冷静を装う私。




もしかして


名前を呼んだ事に、喜んでる?





「もう1回!呼んで!」

「えっ…やだ」





呼んで!って言われると、

さっきまで普通に言えていた事が

……なんだか照れ臭くなる。





「なんで? 減るものじゃないんだしさ」

「減らないけど、やだ」

「お願い」

「無理」

「凛。」

「っ……」





両手首を掴まれて、完全に逃げ場を失った。



前のめりになりながら私にお願いをしてくる春は、未だに目をキラキラと輝かせてる。



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