酔いしれる情緒



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私達は向かい合うようにして夕食を食べる。



さっきの事もあってか


今日の春はいつものように「美味しい美味しい」とは言わず、





「………………」





とても静かだ。




(………拗ねてる?)




キスを阻まれたから拗ねているんだと思った。


分かりやすく何も喋らないからきっとそうだと思って。




悪いのはどう考えても私じゃないのに

無言で食べ進める春を見ていると「なんか、ごめん。」なんて言葉を言いかけた。




いや、私悪くないよね?


悪くないけど



この空気感はすごく嫌いだ。





「ねぇ、」





声をかけると、さっきまで交わることのなかったその瞳が私へと向く。





「恋愛モノ、好きなの?」

「…………えっ?」

「小説。さっき読んでいたでしょ」





咄嗟に出た内容はその事だった。


知らなくてもいい事。



だけど、さっさとこの気持ち悪い空気感をどうにかしたくて。



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