酔いしれる情緒
「はーいっ」
意外にもすんなり離れてくれたことにホッと安心するのも束の間。
「あれ、凛────」
腕を引っ張られて
「煙草、吸ってるの?」
私の首元に近づく春は
クンクンと匂いを嗅ぐ。
「あー……」
仕事着のままだから煙草の匂いがするんだ。
「吸ってないよ。慎二くんが吸ってたから、服に染み付いちゃったのかも」
あの時2本も吸っていたし。染み付くのも無理ないなと、今になって吸っていいよって言ったことに後悔した。
「シンジ、くん?」
「うん。ごめん、匂うよね?着替えてくる」
春に言われてなかったら気づかなかったかも。
私が今煙草臭いんだということに気づいて、着替えるために部屋に行こうとした。
…………だけど
「………、春?」
掴まれた腕は離してくれない。