酔いしれる情緒
「何してっ…!」
ドンッ!と春の身体を押せば、その反動で一歩後ろに下がった春。
髪の毛の隙間から見える春の目は
鋭い目つきをしていて
「シンジくん、も、好きじゃない。」
会ったことないくせに嫌いだと言う。
「……会ったことあるの?」
「ないよ。でも、嫌い。」
慎二くんについて何も知らないくせに、どこで嫌いになったのか。
よく分からないそれに「はぁ…」っと溜め息をつく。
「慎二くん、良い人だよ。ヘビースモーカーだけどね。仕事出来るし、周りを見て行動するような………」
慎二くんの人柄を説明していたというのに
「 凛。 もう、黙って。 」
私の口は春の唇によって塞がれた。