酔いしれる情緒

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（綺麗に片付けられてる……)




お風呂から上がってシンクに戻って来れば、思っていたよりも綺麗に片付けられていてホッと安心したのと同時に驚いた。



奥からシャワーの音が聞こえるから、洗い物をしてくれた張本人は今シャワーを浴びているんだってことに気づく。





（心配して損したかも)





ストン、とソファーに腰を下ろして座る。




そんな私の手には例の小説が。



……今日から読み進めようと思って。





（……そういえば、)





一ノ瀬櫂、春にそっくりだったなー…




ふと、そんな事を思い出した。




一ノ瀬櫂は慎二くん曰く若手の俳優さんで今話題の人らしい。


ドラマ、映画、バラエティなどなど様々な分野で活躍しているみたいでほぼ毎日のようにテレビで見かけるみたいだ。




それに対して春も、



朝早くから仕事に行って


高級そうな家に住み


顔がそっくりだということ。







（…………あと、)





一緒に本屋さんに行った時、この小説をジッと見つめてた。




興味本位とかそういうことじゃないような…


何かを確認している、みたいな。





その時に2人の高校生が



"櫂に似てる"



と、言っていたとき




春はなぜか声を変えた。






………ねぇ、春。




それって……


櫂だってこと、バレないように？