酔いしれる情緒
「ここ?」
春が私の背中に触れる。
「っ…、違う、もうちょっと下…」
「じゃあ、」
ツー…と滑るようにして動かす手に、ピクリと身体が反応する。
触り方が、なんだかいやらしい感じ。
「ここ?」
「ん、」
軽く頷いて
「冷たいから、ちょっと我慢してね。」
その言葉に身体を強張らせると
「ひゃっ、」
その冷たさに身体がビクンと軽く跳ねた。
つ、冷たい……
のと同時に
「……、なにして……」
「んー?何も?」
振り向けば、ヘラヘラとうざったい笑顔を浮かべるコイツ。
ひやりと冷たい感覚と共に
……柔らかい感触を感じたんだけど。
それが何かなんて聞かなくても分かる。
(コイツ、絶対、背中にキスした)
ジロリと見れば、未だヘラヘラと笑う。
抱きつき癖の次はキス魔なのかもしれない。