彼女がマスクを外さない





唖然としている中




二人の服はお互いびしょ濡れで
ポタポタと髪の毛から水が垂れる。




そんなお互いの姿を見合ってみれば





「ふふっ」





恵美は俺を見て笑って





「私よりびしょ濡れじゃん」





あのタオルで俺の頭をわしゃわしゃと拭き始めた。





「いやお前の方が濡れてるだろ」


「いやいや栄ちゃんだって」


「いいからよこせ」





頭を拭かれた事によって
ちょっと照れてしまう俺。




だがすぐにそのタオルを持って恵美の頭を拭いてやろうとしたけれど
綺麗にセットされている恵美の髪型を見て、拭くのに戸惑う。





「…マスクも濡れてるぞ」


「え?あー…」





そんな俺が視界に入ったのは
あの例のマスクで。




これは、チャンスか?

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