彼女がマスクを外さない
「気持ち悪い~べちょべちょしてる」
「…じゃあ外したら?」
濡れたマスクを触りながら眉根を寄せる恵美に
俺は少し冷静な態度っぽくみせかけてそう言った。
「……うん。もういいや、このマスク」
「え?」
「んー?どうしたの?」
「あ、いや別に」
マスク、外すのか?
その恵美の判断に
まさか本当にマスクを外すとは思ってなくて
考えてもなかった事に驚く俺。
「栄ちゃんが外したらって言ったんじゃん」なんて笑う恵美に
俺も笑ってはいるものの
「(マジで?)」
今度はかなり期待できる。