彼女がマスクを外さない
4day
-恵美side-
「(あ、栄ちゃんだ)」
ある日の三限目の事。
私達1組は移動教室で
生物室に向かっている最中だった。
1組はニ階で、栄ちゃんのいる7組は一階。
その一階に生物室がある。
栄ちゃんに会えるかな~
なんてちょっと期待しながらも階を下りれば、その期待は実現した。
「栄ちゃっ」
わーい、と心の中でテンションが上がり
手を振ろうと上げた手
だけど
「(あ…誰かと喋ってる。)」
呼びかけた名前を途中でとめて
手の動作もピタリと止める。
…何話してるんだろ。
あ、笑った。
ははっ、と笑う栄ちゃんを見て邪魔しちゃ悪いなとは思っても
「(誰と喋ってるんだろ)」
ついつい気になっちゃう。