彼女がマスクを外さない




ガコンッ



外にある自動販売機で

言われた通りに桃水を購入し



「(俺は水でいいや)」



それと俺の飲み物を片手に持って

元の場所へと戻る。



「はい恵美」

「わ~ありがと」



図書館では飲食禁止!!


ということもありながら、恵美は素早くキャップを開けて

素早く桃水を口に含む。



もちろん、後ろを向いて。



禁止だって書いてあるのにも関わらず

めちゃくちゃ喉が乾いていたらしい。



「もう外暗いね」

「そろそろ帰るか」

「やった!!」

「…………」



シュパパって音が鳴ってそうなくらい片付けるのが早い早い。



よっぽど勉強が嫌なんだって事が分りやすい

留年、この言葉の意味を理解できているのか不安だ。



「帰ろ」

「はえーな、ちょっと待て」



そうして俺も片付ける。



「あ、武智くんだ」

「え?どこ」



ちょいちょい、と斜め前方を指差す恵美。



どこ、とか言いながら

まず武智くんってどんな奴だっけと素直に考えた。



「あそこだよあそこ。ちょっと行ってきてい?」

「無理って言ってもどうせは行くだろ」

「あはは」



あははって



恵美は笑顔を見せると

武智くん?とかいうやつの方に駆け寄って行く。



…早く片付けよ。

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