彼女がマスクを外さない




「だから怒ってないって…」

「怒ってるもん顔怖いもん。
あ、いつも顔怖いか」

「おい」



俺もそんな恵美の首あたりに腕を回す。



俺っていつからこんなに嫉妬深くなったんだろ



「…悪かったな」



ポンポン

背中を軽く叩いてそう呟いた。


その行動に恵美はパッと顔を上げる。



「頭も撫でて」

「子供か」

「まだ成人じゃないよ」



………。



「ぎゃっ!」



撫でて撫でてってうるさいから

もう髪の毛がぐしゃぐしゃになるほど

めちゃくちゃに撫でてやった。



悲鳴をあげるこいつ

撫でてって言ったのはお前だろ?



「栄ちゃんって嫉妬深いよね」

「…なんだよ急に」

「でもそれってね、私、愛されてる証拠だよ」



ふふっとマスク付きだけど笑顔を見せた、恵美。



こいつ、気づいてたのか



「…あーもう、しらねーぞ…」

「え?なんて…っちょ!ぎゃあっ!やめんか巨人!」



これでもかってくらいに頭をわしゃわしゃと撫でてやる

めちゃくちゃでぐちゃぐちゃヘアーの恵美。



…好きだ。

誰よりも、ずっと。

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