彼女がマスクを外さない
6day




「栄ちゃん…」

「なに」

「欠点とっちゃった」

「にしては嬉しそうな顔してるな」



見せられた紙、いやテストの解答用紙には

まぎれもなく何度見直しても欠点だった。



クラスまで見せに来たって事は

それなりに良い点数を取ったんだと思い込んでいた俺は大間違い。



「お前な…」

「私すごく勉強してたよね?なのにバツってなんでだろう」

「合ってたの一問しかなかったけどな。…家帰っても勉強した?」

「…、……えへ」



…してねーな。



マスク越しだが軽く微笑む恵美。

いやもうその笑みが意味不明。



ただしてないんだなって事は分かる。



「なんでしねーの」

「だって栄ちゃんにあんな愛の告白されたら…」

「してないしてない」



愛の告白ってなんだよ。



家帰ってもドキドキが収まらなかった

なんて言い訳するし、



なんか俺の責任のようにも感じるだろそれ



「次は頑張るよ本当に」

「前にも聞いたそれ」



で、この結果。



「……、…ああ、じゃあ分かった」






俺が居て

勉強に集中できないのなら






「実力テストまで離れよう」






1番それが効率の良い方法じゃないか。



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