彼女がマスクを外さない



「っ……」


俯く恵美


「わ、私は………」


ロングヘアーのその髪が

サラリと顔を隠す。


「私は………さみしいもん…っ」


ギュウゥ

と、力強くスカートを握り締めていたのに気がつくと


あっという間に恵美はその場から走り去った。


「……あれ、恵美ちゃん?」


美羽は隣を走り去った恵美の様子に気がついたらしく


「…あんた彼女泣かしちゃダメでしょ。バカなの?」

「痛っ」


ゲシ、と俺の足に蹴りを入れる美羽。


「…いいんだよ、これで」

「喧嘩もほどほどにしなさいよ」

「…はい」


”離れよう”

そうは言ったものの


「なぁ、実テっていつ」


俺も実はというと

その事について理解していなかった。


「今日合わせたらちょうど1ヶ月後ぐらいじゃないの?」


たぶんだけど、って最後に付け足していたが


「……結構なげぇな…」


一ヶ月間

俺達は

離れる約束をした。
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