彼女がマスクを外さない
「栄介ばいばーい」
「おう、ばいばい」
今日の授業が終了して
掃除当番だった俺は美羽と他合わせて6人で
教室を掃除し終えた。
美羽はこの後部活があるらしく
俺に手を振ってその場を離れる。
「……、…………」
階段のある方向に向かって歩き出していた俺は
ある何かに気がついてはいたものの
気づかないフリをする。
「……なにしてんの、恵美」
けど、
俺の後ろをチョコチョコとついて来たその人に
俺は呆れて振り向いた。
「う、えっと、その」
動揺する恵美。
「一緒に帰らないよ」
一ヶ月間は離れる
そう言った。
一緒に帰るなら
それの意味がない。