彼女がマスクを外さない

「はぁぁぁぁあ」

「…なんだよ」

「はぁぁぁぁあ」

「うぜえ」


その言葉を聞くなり

呆れたように盛大な溜め息をする美羽。

しかも二回ほど


「馬鹿ほんと馬鹿」

「俺より頭悪いだろ」

「恋愛に対しての賢さ0のアンタに言われたくないわ」

「知らねーよ」


ぎゃあぎゃあとうるさい美羽に

俺は携帯をいじり始める。


恵美からのLINEは0


まあ当たり前、か。


「あ、そうだ」


だけど瞬時にその携帯は俺の前から姿を消した。


「…………返せ」


コイツ…！っと眉根を寄せて

俺の携帯を持つ美羽に手を伸ばす


「LINEで謝ればいーじゃん」

「おい返せ」

「私が打ってあげよーか？」


ピッピッと勝手に打ち始める美羽


「おい、美羽っ！」


だけどすぐさま

俺はそんな美羽の腕を掴んで


「…返せ。」


携帯を取り上げた。