彼女がマスクを外さない
「久々に見たよな」
「やべ俺惚れたかも」
美羽に勉強を教えている中、
登校して来た友達がそう会話していたのを耳に届いた
「あ、栄介~」
「おう。」
その二人は俺に気がつくなり、ニヤニヤと不気味な笑みを見せる
…なんだ?
「ほんと栄介羨ましいわ」っと、そう呟きながら
そいつらは俺に近づくと
「!…なんだよ」
ガシッ、と腕を俺の首に回した。
「良かったな~」
「は?なにが」
そして耳元でこう言う
「お前の彼女、マスク外してたぞ」
「っ!」
パッ、と後ろを向く俺。
「ほんとか?それ」
もう一人の友達にそう聞けば
「ああマジマジ」
首を縦に振る。
「なんか、あと化粧してたよな」
「してたしてた。やっぱ可愛い顔してるよな恵美ちゃん」
そう二人の会話を驚きながら聞いていれば
クイッ、と袖に違和感。
「栄介、ココはどうするの?」
「あ、ああ…そこは、」
どうやら美羽が俺の袖を引っ張ったらしい。
俺は美羽と向かい合う
元の体制へと戻ったが、
二人の話はこっそりと聞いた。