彼女がマスクを外さない
8.5day
-恵美side-
空が徐々に暗く、
オレンジ色に染まっていっている途中
「(あ…良かった。まだあいてる)」
私はまた学校に訪れていた。
教科書忘れるとか、ほんと私何してるんだろ
テスト近いってのにさ。
1番苦手な教科である社会
その中でもっとも苦手なのが地理
その地理用の教科書を思いっきり机の中に入れっぱなしのまま
私は帰宅してしまったらしい。
「(机の中にあればいいけど…)」
無かったらどうしよ。
うーん、と。
どこに置いたっけな、たぶん机の中にあると思うんだけど……
歩きながら地理の教科書の行方を辿っていっていれば
スッ、と誰かとすれ違った。
特に気にもしなかった事なのに
「わっ」
途中、いきなり強い風が吹いて
その勢いで反射的に顔を後ろに向ければ
「あっ………」
あの後ろ姿
前に栄ちゃんと……
その瞬間
さっき、すれ違った子は
美羽ちゃんなんだって事に気がつく。