彼女がマスクを外さない





うっすらと目を開ける恵美。



一回だけだと思っていたのか、再び触れたそれに「っ!」っと驚いた表情。



チュッとリップ音を鳴らしてみれば、瞬時に恵美の顔はリンゴのように真っ赤に染まる。




「ちょっ、待って、栄ちゃ…」

「なに」




両手で俺の口元を必死に塞ぐと、恵美はパッと顔を逸らす。




「恥ずい…」

「知らねーよそんなの」

「ひゃっ!?舐めた!手舐めた!」

「どけ。邪魔。」




我慢の限界。1ヶ月離れていたくらいで、こんなにも触れたいと思うのは俺だけなのだろうか。


…俺の理性、軽く壊れてるな。




「栄ちゃ……!っ、」




再びそれに触れれば、逃げようとする身体に俺は腰に手を回す。


ギュウッと抱き締めてしまえば、拒もうとする恵美の動きがピタリと止まる。

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