彼女がマスクを外さない





「キス、出来ないって事」




恵美の後ろ首に手を回し、グッと引き寄せた。


至近距離のそれに「っ!」と驚く恵美だけれど、触れる直後にピタリと止める。




「マスク付けてたら出来ねーじゃん」




喋れば触れてしまうかもしれない、距離。


恵美の顔色が徐々に赤く染まっていく。




「もう体力は回復した?」

「えっ…!や、あの、その、」

「した?」

「待っ、ちょっ、」

「焦らすのも大概にしとけよ」

「っーーー!!」




瞬く間に真っ赤に染まる恵美の顔。その顔を見てニヤッと笑えば焦り始める。




「っ…、」




焦りながらも俺のそれを受け入れれば、恵美は静かに目を閉じた。

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