無口な彼の妬かせ方
俺とアイツも、そうなる時がくる?
……いや。そうはさせない。
俺以外の男になんて、渡すかつーの。
「なに深刻そうな顔してんだよ」
「………べつに」
けれど、今ハッと脳内に浮かんだのがアイツの泣き顔で。
これからもアイツを泣かせてしまうかもしれない、と罪悪感。
「あーもう」っと、机に俯せになる俺。
どうした?っと言いながら、蓮は未だにイチゴミルクを飲んでいる。
その甘い匂いが、今の俺にとって少しキツかった。
「なに、飲みたいのか?」
「………いらね」
ふいっと顔を窓の外に向ける。
そして「はぁーっ」と、溜め息を吐き出していたその時。
「翔ちゃーーーん!」
「っ!!」
その大き過ぎる声に、キーンっと耳が痛くなった。
誰だよっ……!
なんて、イラつきながら顔をあげれば。
「また来たよ、あの子」って蓮が嫌そうに苦笑いを浮かべていた。