無口な彼の妬かせ方
「ああ、またか。」
蓮のその言葉に、なんとなく誰かは分かっていた。
この頃、毎日のように教室に来るアイツ。
チラッと教室のドアの方に目をやる。
ニコニコと満面の笑みを浮かべて俺を見る女の子の姿が目に入った。
その子の名札の色は、黄色。
この学校は学年ごとに色が決められていて、
3年生は緑。
2年生は青。
1年生は黄色。
と、決められてある。
俺は2年生なので青色の名札だ。
「……ちょっと行ってくるわ」
二度目の溜め息を吐き出して、俺は席を立った。
「おお、頑張れ」
グッジョブと右手の親指をたてて、ズゴゴッとイチゴミルクを飲み干した音を鳴らす蓮。
なんだよ、頑張れって。
ジトッと蓮を睨む。
蓮はさっそく女子のグループに入り込んでいて、
なにやらわけの分からない話をしていた。
ほんと、チャラ男だな。
でも、ああやって女子とペラペラ喋れるのは羨ましい。