無口な彼の妬かせ方
誰?っと言いたげに、
チラッと俺の方に目線を向けた藍は、首を少し傾げていた。
唯………
お前、ほんと今日おかしいぞ。
「幼馴染なんだよ、コイツ」
俺は唯の頭の上に手を置いて、"コイツ"という事を示す。
はぁーっと溜め息を吐き出していれば、
唯はクルリと俺の方に振り向いた。
「あー!翔ちゃん、それ言わないでよー」
「はっ?」
なんだよ、言わないでよって。
事実を言っただけだろ。
俺にとっては、唯の言っている事がよく分からない。
「ねぇ!」
すると。
唯は何かを考えついたかのように、一瞬目を輝かせて。
パッと藍の方に目線を戻していた。
「ん?」っと返事をする藍は、軽く微笑んでいる。
……そして、次の瞬間。
「あなたが翔ちゃんの彼女なの?」
「………えっ?」
無表情で、
ジッと藍の顔を見つめる唯。
何聞いてんだよ、と俺まで驚いた。