無口な彼の妬かせ方




「暇だな………」




そっと顔を空に向けて。



綺麗な青色をした空を見つめながら、ボソッと呟いた。



こんな事になったのは、



今から三日前のことだった。



突然。唯ちゃんが私の教室に現れて、




『今週の連休に皆でキャンプに行く事になったので、水着を忘れないで下さいね』




そう唐突に言われたんだ。



えっ?キャンプ?



正直驚いた私だったけれど、



内心はすごくワクワクしていたのを覚えてる。



キャンプなんて初めてで。



なにより嬉しかったのが、翔とお泊まりができること。



だから。



この日が楽しみで楽しみで仕方がなかった。



………なのに。




「……ないっ。嘘、えっ…なんで!?」




今日の朝。



キャンプ場に着いた途端に、私はあの存在を思い出した。



水着、忘れちゃった………。



せっかく唯ちゃんが強調するかのように言ってくれた事を、



スッカリ忘れていたんだ。


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