無口な彼の妬かせ方




そして……今のこの状況に至るというわけ。



水着がない為、川には入れない。



いっそのこと……このまま入っちゃおうかなって考えたけれど、




「やめろ。」




なんて翔にとめられた。



なんで……?



私もそうやって遊びたいのに…



まあ水着を忘れた私が悪いのだけれど、



ちょっとだけ悲しかった。




「はぁーっ」




暇。すごく暇。



ワイワイと水のかけ合いをしている唯ちゃんと翔を眺めながら、



溜め息を吐き出した。



もう……寝ちゃおうか。



今日は6時起きだったし、



こんなポカポカとちょうどいい暖かさだから、余計に眠気がする。



そうして、私はゆっくりと目を閉じた。




「あれ?藍ちゃーん」


「っ、」




けれど、その声によって私の意識は呼び戻される。



ちょっと夢の中に入りかけていたところで。



パチッと目を開けたら目の前に蓮くんがいた。



ちょっ、近っ!!



「あ、のっ!!」



ワナワナと口を開けては閉じてを繰り返していれば、



ブハッと蓮くんは笑い始める。


< 119 / 304 >

この作品をシェア

pagetop