無口な彼の妬かせ方
「っ…、ビショビショじゃねーか」
キュッ、と。
着ていたパーカーを、私に巻き付けるように着せた翔。
大丈夫か?
って、心配そうな表情をしてる。
「藍ちゃんっ!?」
そして。
その場に蓮くんまでが現れたのと同時に、
翔は私を連れてコテージに戻ったんだ。
「ふふっ……いい気味」
私達がいなくなってから。
クスリと笑う唯に対して、
「……………」
蓮はジッと唯の事を見ていた。
「寒くない?」
「うん………」
コテージに着くと、
翔はすぐにタオルを持ってきてくれた。
寒くはないけど……
唯ちゃんからの視線が痛い……。
睨まれてる…よね?
「怪我は?」
ワシャワシャ、と。
濡れた髪の毛を拭いてくれる翔。
「大丈夫だよ。どこも怪我してない」
「そ。良かった」
ホッとしていたのが分かる。
心配してくれてたんだ……
って。ちょっと嬉しかったり。