無口な彼の妬かせ方
「滑ったって言うわりには、怪我はしてないんだな」
うっ…
鋭い……
私の言葉に違和感を持ったようで、
首を傾げてジッと私を見つめてる。
……そうか。
普通はおかしいよね。
滑って転んでも怪我はしていないなんて。
私は罰が悪そうにウッと顔を歪ませていた。
「……まあ、無事で良かったよ」
けれど、
ヨシヨシと私の頭を撫でる翔。
「っ、」
その手が暖かくて、
キュンッと胸が高鳴っていた。
ああ……ほんと、ズルい。
いつもこうやって、
私をドキドキさせる翔がズルい。
いつも、いつも、いつも……
ドキドキさせられるんだ。
「ん?どうした」
キュッと私は翔にしがみつく。
………でも。
そんな彼が大好きなんだ。
「おいっ…、」
たとえライバルが現れようと……
絶対負けない。