無口な彼の妬かせ方




「よいしょっと」


「……ちょっと、隣座らないでよ」




ストン、と。



私の隣に腰を下ろした蓮。



近くにベンチがあるんだから、



べつにここに座らなくてもいいじゃないのよ。




「そーヒドイこと言うなって。襲ったりしないからさ」


「なっ……!」




ニヤニヤ、ニヤニヤと……



気持ち悪い!



なんなの、ほんとコイツ!




「……ここから入ってこないでよ」


「はいはい」




ピー、と。



岩に印をつけて「入ってくんな」と言いつけた。



でも、蓮はヘラヘラと笑うばかりで。



適当な返事。



もう……ほんと、苦手だ。



チラッと睨むかのように蓮を見てみれば、



ん?っとニコッと笑う蓮。



その笑顔……翔ちゃんに似てる。



そう思うのは私だけ?

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