無口な彼の妬かせ方
「っ…、じゃあ私に近づかないでよ!」
掴まれていない方の手で、
掛けてもらったパーカーを蓮に向かって投げた。
……嫌い。
大っ嫌い!!
こんな奴、大っ嫌いだ!!
それは蓮の顔面に綺麗に命中し、
「うおっ」と叫ぶ声が聞こえる。
「ヒドイ?そう思うんだったら、こうやって優しくしないで!!」
アイツの味方なんだったら、
そんな奴に優しくなんてされたくないっ!
声を荒げて言った為か、息が荒れている。
「…、……離してよ」
掴まれている腕をブンブンと振り回す。
私は……あの二人の仲を引き裂こうとしてるの。
分かるでしょ?
引き裂いて、もう関わりのない風にしてやるの。
……けど。
その考えに賛成しない奴なんて、私の敵と同じ。
だから…コイツは私の敵。
もう関わりたくもない。