無口な彼の妬かせ方




「っ…、じゃあ私に近づかないでよ!」




掴まれていない方の手で、



掛けてもらったパーカーを蓮に向かって投げた。



……嫌い。



大っ嫌い!!



こんな奴、大っ嫌いだ!!



それは蓮の顔面に綺麗に命中し、



「うおっ」と叫ぶ声が聞こえる。




「ヒドイ?そう思うんだったら、こうやって優しくしないで!!」




アイツの味方なんだったら、



そんな奴に優しくなんてされたくないっ!



声を荒げて言った為か、息が荒れている。




「…、……離してよ」




掴まれている腕をブンブンと振り回す。



私は……あの二人の仲を引き裂こうとしてるの。



分かるでしょ?



引き裂いて、もう関わりのない風にしてやるの。



……けど。



その考えに賛成しない奴なんて、私の敵と同じ。



だから…コイツは私の敵。



もう関わりたくもない。

< 131 / 304 >

この作品をシェア

pagetop