無口な彼の妬かせ方




キッ、と睨みつけて。



離せと言わんばかりにグイグイ引っ張る。



でもその抵抗は意味が無いらしい。



どうもがいたって離してはくれないし、



それどころか……




「ちょっ…と!何すんのよ!」




ダンッ、と。



私をその大きな石に抑え込む蓮。



強い力で私の手首を掴み、



真剣な顔で私を見下す。



なっ……



一瞬、ブルッと身体が震えた。




「ちょ……っ、ほんと、離れて…」




冷んやりとした石の感覚が背中に伝わる。



こんな事をされるのは初めてで、



どうしたらいいのか分からない。




「優しくされるのは嫌いなんだ?」




ニコリと笑いながら言う蓮が少し不気味に感じて。



ゾクッ、と背筋が凍る。


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