無口な彼の妬かせ方
「な、なんでもないわよっ!!
てかっ…!アンタに関係ない!!」
「きゃっ…!
あっ、ちょっ唯ちゃんっ?!」
ドンッ!と。
私の隣を通り過ぎて、
走り去って行った唯ちゃんに軽くぶつかった。
持っていたお皿が一枚床に落ちて、
パリーン!っと割れる。
あっ……割れちゃった….
コテージの階段を急いで駆け上る唯ちゃんの後ろ姿を眺めながら、
私はその場にしゃがみ込んで割れたお皿を拾おうとする。
怒らせちゃった……よね?
ああもう…どうしよう……
今でも結構嫌われているのに、
これ以上嫌われてしまうよ……。
フゥッと息を吐いて、
割れたお皿に手を伸ばせば。
「あっ、コラ。素手で触らないの」
パシリ、と。
その手を軽く掴まれる。