無口な彼の妬かせ方
あ、れ?
いつの間に……
ふと顔を上げると、
至近距離に蓮くんがいて。
私の手を掴んでいるのも蓮くんだ。
「あっ……、ごめんなさい」
危ない、危ない…。
本当に怪我するところだった。
「大丈夫?怪我はしてない?」
心配そうに私の顔を覗き込む。
「うん、大丈夫。
ただ……
唯ちゃんの様子が変なの」
急に顔を真っ赤にさせて、
この場から逃げるように階段を上がっていってたし……
やっぱり、私が何か怒らせちゃったよね?
どうしよ……謝らないと…
気まずそうに顔を俯かせる。
すると私の手を掴む蓮くんの手が、スルリと離された。
「………ああ。唯ちゃん?
ふーん。そっか~
様子、変だったんだ?」