無口な彼の妬かせ方
「ごめん……今日、こっちから帰る……」
ふいっと翔に背中を向けて、
いつもなら通らない道の方へ歩き出す。
「はっ…?」
後ろから視線を感じるものの、
気にせず、少し速めに歩いた。
"嫉妬してくれない"
それって結構辛いよ……
「っ…………」
だんだんと視界が揺れて、辺りがさっき以上にボヤけて見える。
私たちって、
付き合ってるんだよね?
そうやって疑問に思うことが、この頃よくある。
一年以上付き合っているのにもかかわらず、キスは一度もしたことがない。