無口な彼の妬かせ方




そんなこんなで、



唯ちゃんと蓮くんを探しに出ていた翔が帰って来て。




「なんだ、帰ってたのか」




っと、驚いた表情をしていた。




「あっ!翔、おかえり。


二人ともさっき帰って来たところだよ」



「じゃあ、入れ違いだったんだな」




ハハッと苦笑する翔。




「あれ、唯は?」




はぁっと息を吐き出しながら、



顔に滴る汗を服で拭く翔は周りをキョロキョロと見渡す。




「…っ、」




ドクンッ、と。



心臓が嫌な音を鳴らした。



どうしよう……



今はたぶん自分の部屋にいるはずなんだけど…



私のせい……だよね。



野菜を切っていた包丁を持つ手がピタリと止まって、



モンモンと唯ちゃんの事で悩む、悩む。


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