無口な彼の妬かせ方




それなりの雰囲気になったことは多々あるけど、



そんな時、翔はいつもパッと私から距離をとる。



毎回、毎回されるたびに、私の胸はズキッと傷つくの。



ああ、そっか。
キスしたくないのか、って。



だから、そんな雰囲気になった時は私がいつも話を変えたりする。



もう傷つきたくないから……




「うっ……っ…」




さっきまで我慢して溜めていた涙が、一気に溢れ出す。



持っていた傘は、雨で出来た水溜まりにバチャッと落ちて、



私はその場に崩れ込んだ。




「っ…………」




濡れることなんて気にならなくて、ひたすら泣き続けていた。

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