無口な彼の妬かせ方
まるで、何かに悩んでいるかのように。
「あーいちゃん!」
「うっわ…!れ、蓮くん!?」
購買に行く途中で、
廊下をトボトボと一人で歩いている時。
ギュウッ、と。
後ろから飛びつくように私を抱きしめる蓮くん。
勿論、突然の事で驚く私。
持っていた財布が床に落ちて、
「あっ!」と叫ぶ。
「ちょ、ちょ、ちょっ…と!」
必死に離れようとするが、全く動じない。
「蓮くん!!」
「蓮でいーよ」
ほら、呼んで。
なんて耳元で囁く蓮くんは、ほんと女好きなのだろう。
「は、離れてっ…!」
「呼んでくれたら離れるよ」
「なっ……!」
ギュウッ、と私を抱きしめる力が強くなった。