無口な彼の妬かせ方
「………………」
その様子に
スルリと力を失ったかのように、手を離した。
肩で呼吸をする唯ちゃんに対し、
フイッ、とその場を後にする。
「どういう……意味?」
その場に崩れ落ちる唯ちゃんなんて気づかずに、
俺はスタスタと歩いていく。
「なんなのよ……っ、
近過ぎるし………
やっぱり私、おかしいよ…」
ドキドキと胸が高鳴るそれに、
唯はそれの正体をまだ理解できていなかった。
触れた部分がほんのりと熱くて、
速度が増す心臓を落ち着かせるのに必死だった。