無口な彼の妬かせ方
カバンの中からそれを取り出し、
翔のいるクラスに向かおうとした時だった。
「よぉ」
後ろから、私のよく知る人の声。
「あっ、翔!」
振り向けば、やっぱりそこには翔がいて。
ちょうどよかった~、っと呟きながら翔に駆け寄る。
ほんと、タイミングよかった。
今から翔のクラスに行こうとしていたところだったし。
「えっと……これ…」
ちょっと気まずくて、俯きながらそれを渡す。
「昨日、作ったの」
早瀬くんに渡すときよりも、少し緊張した。