無口な彼の妬かせ方
「………………」
パタリ、軽くドアが閉まる音。
それと共に、携帯がピカピカと光り始めた。
誰だろ?
なんて思う必要はなく。
その光りの色で、私は翔からだと気づいた。
オレンジ色にキラキラと輝く、そのお知らせに、
自然と口元が緩む。
「どうしたの?翔」
階段をおりながら、耳に携帯をあてる。
「"今、どこ。"」
「今?階段おりてるところだよ」
「"……どこの。"」
どこのって……
「屋上に行く為の階段……かな?」
でもまあ。
今もうおりたけどね。
そして最後の一段をおりた、その時。
「"………あっ。いた。"」
「えっ?」
その言葉が二重になって聞こえたかと思えば、
「………何してたんだよ」
目の前に、携帯を耳にあてて少し息が荒れている翔の姿ー。