無口な彼の妬かせ方
「えっ?いや、翔こそ…」
携帯を持つ手が、徐々に下へ下へとおりていく。
もう携帯で話す必要がなくなった為、ピッと通話を切った。
どうしたんだろ…
走ってきたのかな?
はぁーっと息を大きく出した翔は、少しだけ汗をかいていた。
近くに寄れば、ハァハァと息が荒れていて。
「だ、大丈夫?」
「………、…大丈夫じゃねーよ」
その返事と共に、
翔の手が私の指先を軽く掴んだ。
キュッ。と本当に、軽く。
「走ってきたの?」
「………あたりまえ」
「なんで?」
「……………」
一瞬、翔の顔がムッとした顔に変化したあと。
スッ、と伸びてきた手が、
私の頭を捕らえてペシッと叩いた。
「………この、バカがっ…」
目を細めて、
それぐらい分かれよ。なんて言いたげに眉根を寄せている。