無口な彼の妬かせ方




「………藍、」




突然、呼ばれたそれに。



ん?



って。返事をする。



目線を合わしたのと、同時に。



ピリッ、と。



変な雰囲気が漂った。




「蓮に。何、言われたわけ?」




翔の顔が、強張っているのが分かった。



その変な雰囲気に、



なにやら、緊迫感が、伝わる。




「何って……、バイト。の話…かな?」


「バイト?」


「うん、バイト」




バイトって、どーいうことだよ。



なんて言いたげに。



不思議そうに、首を傾げて考え込む翔。



私がそう言った瞬間、



翔の顔が少し柔んだのは、気のせいかな。


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