無口な彼の妬かせ方




その冷たい対応に、なんだか身体が冷たくなった。



サァーッて血の気が引くような、感じ。



ねぇ、翔。



翔は、私の事、本当に好きなの?



なんて疑ってしまう私が、なんだかバカバカしい。



彼女っていう立場にいるんだから、翔を疑ってどうするの。



そう否定するような気持ちと、



もう嫌いになったのかも。って、不安で仕方が無い気持ちが、



綺麗に交差する。



……今の私、



ちゃんと笑えてるかな…




「じゃあ…ね。」




冷たくなった手のひらで、ぎゅっと携帯を握り締めた。



重たくなった足を、無理矢理動かして、翔から距離を作る。



………蓮くんの言うとおり



もう少しで、翔の誕生日なんだから。



サプライズ好きの私にとって、



一旦、離れるのに、いい機会かもしれないな。

< 196 / 304 >

この作品をシェア

pagetop