無口な彼の妬かせ方




声が、出ない。



喉の奥がキュッとしまったかのように、



ただただ、口が開いたまま。



ジッと、冷めたような目で私を見る翔。



冷たいその雰囲気に、何故か身体が自然と後ずさる。



カバン持ってる……



てことは、帰るのか。



ふー、と翔は疲れたかのように、吐き出した息。



怒ってるのか、それとも、その逆なのか。



イマイチ、よく分からない。




「……………」




再度。私を見た翔は、



スッと私の隣を無言で通り過ぎた。



ズキン、



胸が張り裂けそうになる。




「っーーーーー」




"ばいばい"



その言葉が、言えなかった。


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