無口な彼の妬かせ方




「さあ、ここだよ。」




学校から徒歩30分ぐらいの所で、ピタリと止まった蓮くん。



そのすぐ後ろを歩いていた私は、



「わっ…!」と、小さな叫び声を出して、



蓮くんの背中にぶつかりそうになった。



ヨロッ、とよろめく私に、



「大丈夫かよ」なんて、ニヤニヤと笑いながら、パシッと支えてくれた。




「だ、大丈夫だから、!」




ありがとう、と少し大きな声でそう言う。



ふっ、と鼻で笑われた気がしたけれど、



今はそれどころではない。




「こ、ここで、働くの?」


「そ。俺が元から働いているところ」




彼が笑顔で指差す先は、




「うそ……」




キラキラと輝く大きな看板で。


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